津軽伝書に基づく小野派一刀流の組太刀の再現③:乗身、の試し撮り。。。
・まず乗身は一本目だけではなく、五本の組太刀で構成されている。一子相傳之秘書にあるとおり、10 組で 50 本の組太刀で構成されています。
一子相傳之秘書
地之巻
表 組数十、點数五十。此組数 ノ號ニ字ナシ、只カナニテ教ユルナリ
が、見た目は 4 本となっており、現代の小野派一刀流の言い方に合わせると、乗身に2つづつ含まれており、残りは一つづつで計五つで乗身の組太刀が構成されている。以下の通りとなります。
乗身 - 一番、二番
同一ツ勝 - 三番
下段付 - 四番
中清眼 - 五番
現代の小野派一刀流や北辰一刀流で鬼小手に上段から打込むのがあると思いますが、あれが一つの区切りとなっています。が、乗身の一本目はそれがない珍しいタイプの形です。
・乗身の意味合い
別の動画の「小野家伝書に基づく小野派一刀流の切落の技法」でも言及しましたが、切落し突き、切落し付、切落し打ちときて、切落しの延長上に乗身が位置しており、切落の延長上に乗身の技法があります。上太刀を完全に制圧するという点がテーマとしてあり、乗身の一ツ勝は一本目とは異なり、切落しながら乗身になるのが正しいと考えています。ここで出る切落しは「乗身」の組太刀であるため、すべて乗身の切落で撮っています。小野忠常の時に「打太刀手袋始ル」と鬼小手の原型が使われだし、忠明が作った組太刀も忠常と忠於の段階ですでにいくつか解釈や変更が加わっていたのではないかと想定しています。
小野家伝書に基づく小野派一刀流の切落の技法
** 乗身:一番、二番 ノリ身 **
打太刀陰、左りの足を入切かけ、むかふ下段に取時、右の足を踏込突、先より乗たるとき、下段にくつろげ右の手へ切懸る、右の手へ勝する
遣方、せいがんに出、打懸るとき足を不動して下段にさげ、向より突とき後の足より後へ寛げ、又先きの足を入れながら乗る、又下段に後えくつろげ先よりうでへ切りくるとき、身を可ハりながら陰にとり右の手へ勝
・これは次の組太刀である折身の一番、二番(妙剣、絶妙剣)の前段の練習の組太刀です。そのため、前提となる元のは鐘巻流の法形の裏の一本目の妙剣と推測しており、折身の部分がなく、乗身を下段から練習し、その後の折身から立ち上がりながら乗身をするための練習をここで行うものと推測しています。
・打太刀が踏み込んで突いてくるところを乗身で制します。
・最後は右腕を切りかかられるところを陰に取る過程で打太刀を摺り上げるように防ぐという守りながら攻める待中懸となっています。