[2022] Rachmaninov : “Vocalise” / Fedoseyev & БСО

ラフマニノフの「ヴォカリーズ」は、哀愁を帯びたロマンティックな作品ですが、この演奏は、それらを演出効果たっぷりに「歌い上げる」わけではなく、しみじみと人生を愛でるかのような、音楽の「あるがまま」の姿を慈しむような素敵な演奏です。 ヴォカリーズとは、元々は歌詞を伴わずに母音のみによって歌う歌唱法の意。 そこに、わざとらしい歌詞は不要ということなのでしょう。 まさにこの演奏は、音楽とともに歳月を重ねたフェドセーエフ氏の、敢えて無粋な声にはしない、しかし声なき声が聞こえてくるようなヴォカリーズだと私は思います。 モスクワ・フィルハーモニー協会の撮影班のカメラワークも、以前と比べて秀逸で、雰囲気を盛り上げてくれています。
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