君が居なかったみたいだ/知声 (MUSIC VIDEO)

第三章 「だから、空は今日も青いんだね」 意識外から飛び込んできた言葉を、頭で考えるよりも先に呟いた。 その後、二、三秒後のことだった。強い風が吹いた。 目を瞑るくらいの強風に、「なんだよ」と呆れながら目を少しずつ開けると、視界を覆い尽くす程の桜が舞っていたのだ。 僕は思わず息を呑んだ。風に吹かれて、花が舞っている。 誰も居ない、僕だけしか居ない屋上には勿体無いくらいの絶景だ。 そうだ。僕がどんなに悩もうが、苦しもうが、空は今日も青く、現実は無情なまでに美しい。そうだ。今、この花舞う屋上は、まるで君が居なかったみたいだ。 僕は、屋上で空を仰いでいる。 流れていた涙は、風でとうに渇き切っていた。 sinami - 君が居なかったみたいだ 作詞作曲:sinami 映像:流汲 Vocal:知声 Mix&Mastering:Seiji Toda Encode:Luki/R×R 各種ストリーミング 歌詞 嗚呼、面倒くさいな 全部が面倒くさいな しがない人生だ 嗚呼、全部失って 咳をしても一人だ 八月の夕景は兎角綺麗で やるせ無くなってしまうよな 人混みが嫌いだ 僕に足りないものが痛いくらい見えるから 淡々と歩く、海の向こう 軒先の椿の美しさを君に伝えないと 春来れば、桜散るお別れだ あの日の僕はもう此処に居ないから 故に空は、今日も青いのだ 風が吹いて花舞う屋上は まるで君が居なかったみたいだ 背が伸びた感覚だ  影が映る起き抜けの朝、君が笑う 夜祭の後だった  海に上がる花火を何故か一人で見ている 刻々と進む日々の秒針 儚く消えたその横顔は、僕にとっての春なんだ 春来れば、桜散るお別れだ あの日の僕はもう此処に居ないから 故に空は、今日も青いのだ 風が吹いた 春の匂いがする 春来れば、桜散るお別れだ あの日の僕はもう此処に居ないから 故に空は、今日も青いのだ 後悔も忘れて掻き消せこんな唄 夜も忘れて 過去も忘れて 色も忘れて 憂鬱も忘れて 声も忘れて 匂いも忘れて まるで君が居なかったみたいだ 愛した君に、さよならを言うんだ
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